あとがき

脱ステのススメ 31 〜あとがき〜

事件は現場で起きている!

 

 

私は本書を書いている途中、よく『踊る大捜査線』という少し古い刑事ドラマを思い出しましたそのドラマのなかで、現場に所属する織田裕二演じる青島という刑事が、警察という官僚組織のピラミッドのトップにいる人間たちが、自分たちの利益や権威を守ることしか考えず、まともな指示が出せないことに業を煮やし、このように発言します。 

 

「事件は会議室で起こってるんじゃない。現場で起きてるんだ!」 

 

まさに、今の皮膚科業界にリンクする言葉かと思います。現場では、患者の未来と医者としての正義のために、医師が死に物狂いで治療にたっている。業界ピラミッドのトップにいる人たちは、自分の利益や権威を守ることに必死で、患者や現場が全く見えておらず、会議室では的外れな戦略しか練ることができない。 

 

『踊る大捜査線』は数々の名言があるのですが、もう1つ、青島刑事が言ったどの業界にも共通する普遍的な名言があります。

それが、 

 

「リーダーが優秀なら、組織も悪くない」 

 

という言葉です。これは、会社などの組織に所属する人であるなら、大半の方が共感される言葉かと思います。 

 

医師免許を取得できるような方は、私なんかとは比べ物にならないほど優秀で、論理的思考のできる方ばかりです。私の知人にも医師が数名いますが、私なんかでは逆立ちしてもかないっこありません。そんな優秀な方ばかりの集団ですから、難治化アトピー性皮膚炎の治療において、脱ステ、脱保湿療法が有効な選択肢の1つであるという事実に、気づいていないはずがありません。しかし、気づいたとしても、声を上げ、実行することができないのです。その理由は、本書をここまで読み進めてこられた読者の方であれば、お分かりになるかと思います。 

 

難治化アトピーに苦しむ人たちを救うために、私が最も有効だと考える方策は、日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎治療ガイドラインに、脱ステロイド、脱保湿療法の詳しい治療法を記述し、全国どこの病院でも、脱ステ、脱保湿療法を受けれるようにすることです。 

 

そのためには3つの方法があるかと考えます。

まず1つは、現在のトップが認識を改めるということ。これは、先の学会での状況にも見て取れるように、可能性は絶望的に低いでしょう。

2つめは、脱ステ、脱保湿療法にポジティブな医師がトップになるということ。これも官僚的な業界構造から考えてかなり難しいと思われます。

そして3つ目。脱ステ、脱保湿療法に取り組む医師たちとともに、その治療法によって改善した患者たちが一丸となって、ガイドライン改定に向けて行動する、ということです。 

この活動は、『atopic』というボランティア団体によって、現在も活動中です。『atopic』は、近畿中央病院、阪南中央病院、佐藤小児科で佐藤先生夫妻のもと、脱ステ、脱保湿療法を行った患者やその家族が中心となり、ガイドラインの改定、および治療法や悩みなどにおける情報交換を行うことにより、患者だけでなく医療業界をよりよくするための活動をされている団体です。日本各地で行われる講演会の案内や、ガイドライン改定を要求する署名活動なども行っておりますので、ぜひ一度訪れて見てください。 

【atopicHP http://atopic.info 

 

 

佐藤健二先生について 

 

 

最後に、阪南中央病院の佐藤先生について、少し話させていただきます。私は、昔から人間観察やサービス業が大好きな人間で、ちょっと変わった人によく興味を抱くのですが、佐藤先生は、私の興味をこれ以上ないほどに引きつけた人の一人です。 

 

阪南中央病院の皮膚科外来はすごい人気です。開院10分後に受付をしても、2時間ど待たなければいけません(その理由は入院時にわかったのですが、驚くことに朝の7時ごろから患者さんが並び始めます)患者さんは次々と呼ばれますが、一向に減ることがありません。待ってる患者さんも看護師さんから、 

 

「今の順番からすると、診察は14時くらいになりそうですから、一度帰って昼ごはん食べてきたらどうですか」 

 

と言われています。そんな方が何人もいらっしゃる。そこでふと、 

 

「佐藤先生っていつ昼ごはん食べてんねやろ?」 

 

と思ったのが最初のきっかけです。診察は9時から始まっているので、周りの状況からすると少なくとも15時くらいまでは診察が詰まってそうでした。そこで、興味を持ったことは聞かずにいられない私は、診察中、佐藤先生に直接聞いて見ました。すると、 

 

「どこかで時間の取れそうなときにパッと済まします。だいたい15時ぐらいからが多いですかね。15分〜30分くらいかな」 

 

といつものようにサラッとおっしゃいました。佐藤先生は確か今年で71歳(2018年執筆当時)です。これで、興味を持つなという方が無理です。 

また、佐藤先生は月に何度か、19時から1時間ほど、入院患者の集まりに顔を出し、患者の質問に答えたり、学会での話などをされています。ブログなどの書き込みにも、出来る限り素早い返答をきちんとされています。70歳を超えているのに。

正直本当に驚きました。通常の企業であれば、とっくに定年退職され、退職金と年金で悠々自適な暮らしをされている頃。ましてや医者です。私の知り合いにも何人かいると言いましたが、一般的な上場企業の管理職より稼いでます。であるのに、昼休憩も15時ごろに30分、少なく見積もっても、1日のうち12時間は働いています。「今日はちょっと手術が入ってまして」とかサラッと言います。70歳を超えているのに。 

 

しかも、佐藤先生は日本皮膚科学会の皮膚科専門医です。脱ステ、脱保湿、脱プロトピックを叫ぶ先生は、私の目から見ても明らかに学会にとって目の上のたんこぶです。心ないバッシングがあることなんて、本書を書くにあたって色々調べるまでもなくわかります。私なら到底そんなところでやり続けることはできないと思ったので、なぜ皮膚科学会に所属しているのか、直接聞いて見ました。すると、 

 

「業界に所属している人間が声をあげなければ、声は届かないし、何も変えれないですから 

 

と、いつものようにサラッとおっしゃいました。並大抵の胆力ではありません。私は正直、「こんな医者がいるのか!」の驚愕し、生まれたての子牛のように膝を震わせました。いや、ちょっと言いすぎました。ですが、本当に私の理解の範疇の斜め上を時速300キロで飛び去っていく佐藤先生に対する興味は強くなるばかりです。

こんなにすごい先生と直接話せるチャンスがありますので、先生の本質を知り、勉強させていただきたいと感じた私は、思い切って以下のような質問をさせていただきました。 

 

「先生にとって、自分の人生を評価する指針とはなんですか?」 

 

と。すると先生は、一瞬考えた後、即座に、 

 

「正しいことをする。自分が正しいと思ったことをする。ですかね」 

 

と答えられました。その瞬間、ゾワッと鳥肌が立ちました。

できますか?そんなこと。もちろん誰だって正しいことがしたい。私だってそうです。ですが、組織の中に属する人間が、自分のためではなく、お客様、ひいては業界の未来のために、トップの人たちに、「あなたのやり方は間違っている」と真正面から向き合うことができますか?独立してもやっていける能力があるのに、間違った業界を正すためにそこに所属し、活動し続けることができますか?私には、到底できそうもありません。 

 

通常の企業でも難しいのに、佐藤先生のいる業界はそれより何十倍も官僚的、かつ様々な利権が絡む医療業界です。そんな業界で佐藤先生は、70歳を超えた今でも昼休憩30分、半日以上働き、患者の声を聴き続け、休みの日には日本全国で講演を行い、そして、完全なる敵地である学会で、患者の声を届け続けている。業界のより良い未来のために。 

 

まるで少年漫画のヒーローです。日本にも、まだこんな先生がいるのです。映画化もされ、私も大好きな医師『パッチ・アダムス』に通ずるところがあります。もし、マスメディア業界の方が本書に目を通しておられましたら、佐藤先生に『プロフェッショナル 仕事の流儀(NHK)』への出演オファーをお願い致します(笑)。 

 

私はそんな佐藤先生によって、ステロイド離脱に成功し、症状は改善の一途を辿っています。まだ完治というわけにはいきません(書き癖がまだ残っております)が、ステロイドや保湿剤を一切使わなくとも、夜中に痒さで起こされることもなく、平穏な日常を送ることができています。 

 

そして、そんな私と同じように、あなたのアトピーも脱ステロイド、脱保湿によって必ず良くなりますうか脱ステ、脱保湿療法を信じ、自分の症状と向き合って下さい。そして、本書で記したことを実践することより、間違った情報に翻弄されることなく、一人でも多くの難治化アトピー患者の皆様が回復に向かうのであれば、私にとってこれ以上の喜びはありません。 

 

さぁ、あなたも自分が正しいと信じることを、胸を張って行いましょう!

待ち受ける未来は、きっと輝いています!!

 

 

 

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