第1章

脱ステのススメ 5 第1章 〜ステロイドの副作用とは?〜

デルモベート軟膏について

 

私はまず、ステロイドの強さが最も強いとランク付けされる『デルモベート軟膏』について調べてみることにしました。何かを調べたり、例えたりするときは、極端な例(この場合は、ステロイドランクが一番強い)の方がわかりやすいからです。 

以下、デルモベート軟膏を製造するグラクソ・スミスクライン株式会社のHP(http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2646713M1136_1_07/)より抜粋。

 

禁忌事項 

 まず、『禁忌(次の患者には投与しないこと)』として以下4つの記載がありました。 

1.細菌、真菌、スピロヘータ、ウイルス皮膚感染症及び動物性皮膚疾患(疥癬、毛じらみ等)[感染を悪化させる恐れがある] 

2.本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者 

3.鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎[穿孔部位の治癒が遅れる恐れがある。また、感染の恐れがある] 

4.潰瘍(ベーチット病は除く)、第2度深在性以上の熱傷、凍傷[皮膚の再生が抑制され、治癒が著しく遅れる恐れがある] 

 

とある。ここから私は、まず以下の仮定を立てました。それは、 

【ステロイド外用剤の免疫抑制効果はかなり強烈】 

ということです。その理由は先の①、③、④の禁忌にあります。①には「感染を悪化させるおそれ」、③には「治癒が遅れる、及び感染のおそれ」、④には「皮膚の再生が抑制、治癒が著しく遅れるおそれ」とある。

そもそも『免疫』の定義とは、 

 

『体内に病原菌や毒素、その他の異物が侵入してきても、それに抵抗して打ち勝つ能力。また、異物と反応する抗体を作って発病を抑える抵抗力を持つこと。転じて、物事が度重なるにつれて慣れてしまうこと』 

 

とあります

つまり、免疫とは細菌やウイルスから身体を守る防御システムのようなものだと言えます。この防御システムを抑制するのが、ステロイド外用剤の大きな仕事の一つ。なぜなら、アトピー性皮膚炎患者は、先にも申した通り、外部から侵入してきた異物と結合し、かゆみを引き起こす因子を多く抱えています。体内に侵入してきた異物に対して、かゆみ因子全てが反応してしまっては、全身痒くてたまらない。だから、その反応を抑制することで、かゆみを抑えているのだ、と私は認識しました。これだけを聞いて、 

 

「それは素晴らしいことじゃないか。一体何の問題があるだ?」 

 

 免疫抑制効果の問題点

う、問題は、この『かゆみに対する抑制』だけに止まらないことにありますそれだけでなく、正常に機能している免疫系も抑制してしまうのです。免疫抑制剤の副作用として、『感染症にかかりやすくなる』というのはまず第一に挙げられますが、先に挙げた①、③、④をもう一度確認してみると、外敵に対する防御システムの抑制、および自然治癒能力を著しく抑制してしまうから、これらの病気に該当する人は使ってはいけないとあるのです 

 

「まぁ私はこれらの病気には該当しないが、強い免疫抑制効果があるということはしっかり認識しておこう」 

 

私はそう考えました。次に注目したのは、『使用上の注意』です。以下抜粋。 

 

重要な基本的注意 

1.皮膚感染を伴う湿疹、皮膚炎には使用しないことを原則とするが、止むを得ず使用する必要がある場合には、あらかじめ適切な抗菌剤(全身適用)、抗真菌剤による治療を行うか又はこれらとの併用を考慮すること。 

2.皮膚萎縮、ステロイド潮紅などの局所的副作用が出現しやすいので、特に顔面、頸、陰部、間擦部位の皮疹への使用には、適応症、症状の程度を十分考慮すること 

3.大量、又は長期にわたる広範囲の使用[特に密封法(ODT)]により、副腎皮質ステロイド剤を全身投与した場合と同様な症状が現れることがあるので、特別な場合を除き長期大量使用、密封法(ODT)を極力避けること(「副作用」の項参照) 

4.本剤の使用により症状の改善がみられない場合又は症状の悪化を見る場合は使用を中止すること 

5.症状改善後は、速やかに他のより緩和な局所療法に転換すること 

 

副作用 

副作用等発現状況の概要 

 軟膏では、総症例8776例中、262例(3・0%)、クリームでは、総症例7251例中、220例(3・0%)に副作用が報告された。その主なものは、皮膚萎縮〔軟膏91例(1・0%)、クリーム54例(0・7%)〕、毛の炎・せつ〔軟膏57例(0・6%)、クリーム30例(0・4%)〕、毛細血管拡張〔軟膏42例(0・5%)、クリーム40例(0・6%)〕であった(使用成績の調査結果)。 

 

重大な副作用 

眼圧亢進、緑内障、白内障 

(頻度不明) 

 眼瞼皮膚への使用に際しては、眼圧亢進、緑内障、白内障を起こすことがあるので注意すること。大量又は長期にわたる広範囲の使用、密封法(ODTにより緑内障、白内障等の症状があらわれることがある。 

 

その他の副作用 

1.皮膚の感染症 

(頻度不明) 

皮膚の真菌症(カンジダ症、白癬等)、細菌感染症(伝染性膿痂疹、毛のう炎等)及びウイルス感染症があらわれることがある[密封法(ODT)の場合、起こりやすい]。このような症状があらわれた場合には、適切な抗真菌剤、抗菌剤等を併用し、症状が速やかに改善しない場合には、使用を中止すること。 

 

2.その他の皮膚症状 

(頻度不明) 

長期連用により、ステロイド皮膚(皮膚萎縮、毛細血管拡張、紫斑)、色素脱失、酒さ様皮膚炎・口囲皮膚炎(ほほ、口囲等に潮紅、丘疹、膿疱、毛細血管拡張)、多毛等があらわれることがある。このような症状があらわれた場合には徐々にその使用を差し控え、副腎皮質ステロイドを含有しない薬剤に切り替えること。
また、ステロイド瘡、魚鱗癬様皮膚変化、一過性の刺激感、乾燥があらわれることがある。 

 

3.過敏症 

(頻度不明) 

塗布部に紅斑、発疹、蕁麻疹、そう痒、皮膚灼熱感、接触性皮膚炎等の過敏症状があらわれた場合は、使用を中止すること。なお、これらの症状は原疾患の症状に類似している場合がある。 

 

4.下垂体・副腎皮質系機能 

(頻度不明) 

大量又は長期にわたる広範囲の使用、密封法(ODT)により、下垂体・副腎皮質系機能抑制を来すことがあるので注意すること。また、このような場合において、投与中止により急性副腎皮質機能不全に陥る危険性があるため、投与を中止する際は患者の状態を観察しながら徐々に減量すること(「重要な基本的注意」の項参照)。 

 

高齢者への投与 

 一般的に高齢者では副作用があらわれやすいので、大量又は長期にわたる広範囲の密封法ODT等の使用に際しては特に注意すること。 

 

妊婦、産婦、授乳婦等への投与 

 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に対しては使用しないことが望ましい[動物実験(ラット)で催奇形作用が報告されている] 

 

小児等への投与 

 小児等に対して長期使用又は密封法(ODT)は、発育障害を来すおそれがあるので避けること。また、おむつは密封法(ODT)と同様の作用があるので注意すること。 

 

とある。読者の皆様は、これらを読んでどのような感想を抱かれたでしょうか。全体の9割以上を占めるステロイドを使用している医師の意見と食い違うと思われた方が多いのではないでしょうか。私もその一人でした。 

 

医師から聞いていたことと違うぞ!?

多くの医師やインターネットでは、以下のような文言をよく見聞きします。

 

「ステロイド外用剤は、皮膚から吸収される量がすごく少ないから、内服薬と違って体内に残るなんてことはないだよ。だから、副腎機能が抑制されるなんてのは嘘だよ」 

「ステロイド外用剤を中止するとリバウンドを起こすなんて脱ステロイドを支持する医師はいっているけど、そんなことはありません。ごく一部で顔に出る人はいるみたいだけど、普通の体質の人、もしくは首から下の部位に出ることはありません」 

「妊娠中や授乳中にステロイド外用剤を使っても大丈夫か?なんて質問もされるけど、胎児や母乳に対する影響もないよ」 

「目の周りに使うと白内障になるなんて話もあるけど、それも全くの嘘」 

 

私も以上のように医師から言われ、安心していたのを覚えています。現に、インターネットで『ステロイド、副作用』とグーグルで検索すると、一番上に出てくる東京の大木皮膚科のホームページ(2018年執筆時)には、上記の4点と全く同じ指摘をされており、脱ステロイドを支持する医師を、悪徳アトピービジネスと絡めて非難しています。

しかしこの表記の仕方は、自分の利益のために、患者を騙して利益を享受しようとする輩と、それとは全く正反対の、個人および所属する病院の利益にはならないのに、患者を第一に考え、患者と真摯に向き合い、患者と医学会のより良い未来のために体制と戦っている医者を同列にして批判しているところに、明確な悪意が見て取れます。

さらに、自社のマーケティングのためにSEO対策(お金やテクニックを駆使し、検索エンジンの上位に自社のHPを持ってくるという、インターネットにおけるマーケティング手法の一つ)に余念がないところなどを見ると、自社の利益のためにマーケティングをきっちり行うという行為は、企業としては当然と言えますが、お客様が病気で苦しんでいる患者様と考えると、どうしても悲しい気分になってしまいますし、企業のCSR(corporate social responsibilityの略で、邦訳すると企業の社会的責任。企業が利益を追求するだけでなく、その行いが社会へ与える影響に責任を持ち、倫理的観点から事業活動を通じて社会に貢献するという責任のこと)の観点からみると果たしてどうなのだろうか?と思ってしまいます。この辺りのことは、のちに詳しく記述します。 

 

製薬会社は「副作用がある」と明記している

話を戻しますが、現に薬を作っている製薬会社が先に記した通り、 

 

『たくさん、又は長期にわたって使用することで、内服した時と同様の副作用を引き起こす危険がある。しかも発症確率不明(重要な基本的注意④参照)』 

『投薬中止によるリバウンドの危険性があるため、急な中止はせず徐々に減らさなければならない。しかも発症確率不明(その他の副作用④参照)』 

『妊婦、又は妊娠の可能性のある方は避けたほうがいい。動物実験では奇形児が生まれたケースもある。又子供は発達障害を起こすおそれがあるから使ってはいけない(妊婦、産婦、授乳婦等への投与、小児等のへの投与参照)』 

『目の周りに使うと、眼圧亢進、緑内障、白内障になる危険がある(重大な副作用参照)』 

 

と明記しているのです。だとすると、どちらかが嘘をついていることになるのだが、どちらが嘘をついているか(あるいは無知及び思考停止に陥っているか)は、ここまで読み進めていただいた懸命な読者の皆様であれば一目瞭然かと思います 

 

薬事法違反で摘発されたケース

 ちなみに、この『デルモベート(プロピオン酸クロベタゾール)』は、ステロイド不使用を謳う市販クリームや化粧品に使用され、利用者から「効きすぎる!」「リバウンド症状がでる」との声が多発したことにより調査が及んだ結果、製造会社、販売会社が薬事法違反で摘発されるという事件が私の知る限りでも4あります 

 

2001年、中国の『中国合資上海日龍衛生材料製造有限公司』が製造元で、福岡の『アレルギー自然療法研究所コスモス』が販売元の『皮炎霜(ひえんそう)』 

2004年、旧オウム真理教である宗教団体アーレフの信者らが、『漢方堂』の団体名で販売していた『桃源クリーム、ローション』。 

2008年、東京の『株式会社ラバンナ』が輸入元で、数社が同時に取り扱っていた『NOATOクリーム』。 

2014年、ステロイドを使わず、漢方でアトピー性皮膚炎の治療を行うと謳っていた横浜市の『山口医院』が独自処方していた『漢方クリーム』。(個人的には一番許せない) 

 

以上の4です。2004年度の『桃源クリーム』に関しての事例について、厚生労働省のホームページより詳細を見つけることができたので、以下に抜粋します 

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/06/h0603-1.html 

 

プロピオン酸クロベタゾールを含有する無承認無許可医薬品の販売事例について 

 本日、警視庁より、別添のとおりアトピー性皮膚炎に効くと称して販売されていた「桃源クリーム」に関する薬事法違反(医薬品の無許可販売)事件について、11時頃に発表を行い、桃源クリームにはステロイドホルモンであるプロピオン酸クロベタゾールが含有されていた旨の連絡がありました。
 桃源クリームは、「アトピー性皮膚炎に効くがステロイドホルモンを含有していない製品」との標ぼうにより販売されていたことから、健康被害の発生防止のために、特に桃源クリームの使用者に対して注意喚起する必要があり、厚生労働省としても下記のとおり情報提供いたします。 

 

1.製品の名称等 

製品名:桃源クリーム(漢方クリームの名称でも販売されていた) 

    桃源ローション 

販売者名:漢方堂 

 

2.含有されていた成分 

プロピオン酸クロベタゾール(ステロイドホルモン) 

 

3.注意事項 

「桃源クリーム」、「桃源ローション」については、ステロイドホルモンを含有しております。リバウンド現象を起こす危険性があるため、医師の管理の下で、徐々に使用を中止する必要がある場合もあるとともに、安全性についての担保がないことから、使用している場合は、速やかに医師に相談して下さい。 

 

プロピオン酸クロベタゾールについて 

 プロピオン酸クロベタゾールを含有するクリーム剤は、国内で医薬品としての承認があり、劇薬に指定されております。 

 

1.効能・効果 

湿疹、皮膚炎群、湿疹群等に対して用いられる 

 

2.副作用等 

細菌、真菌、スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症等に対して禁忌となっている。 

主な副作用としては、皮膚萎縮、毛の炎等があり、重大な副作用として、(大量又は長期にわたる広範囲の使用等による)緑内障等がある 

 

3.その他 

外用ステロイドホルモン製剤としては最も作用が強い部類に属している 

 

とあります。上記の発表をした『厚生労働省医薬食品局(現医薬、生活衛生局)』は、医薬品、医療機器等の承認審査や安全対策、薬物乱用対策などを所轄する、いわば日本の医薬品を統括するトップ機関です。その厚生労働省が、上記のような副作用があると明言している事実を、私たちはしっかりと認識しなければいけません 

 

そして、私はこう考えました。 

 

「そうか。ステロイドランクが最高の外用剤になると、仕様に際して注意すべきことがこんなにあるのか。では、私が現在使っているボアラ軟膏についてはどうなのだろうか 

 

 デルモベートに対する認識があまりにも甘かった私は、若干の恐怖を感じながらも、自身が約10年塗り続けているボアラ軟膏(ステロイドランクは真ん中のⅢ群、ストロング)について調べ始めました

 

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