元々のアトピーはどうやって治す?
脱ステに踏み切ろうとしているアトピー性皮膚炎患者が、一番気にすることは、以下のことではないでしょうか。現に私もここが一番引っかかったし、不安に感じたところでもあります。それは、
「脱ステ、脱保湿をすることによって、ステロイド依存及び保湿依存からの離脱はできるかもしれないが、もともとあったアトピー性皮膚炎はどうやって治すのか?」
ということです。
上記の図13をみてください。このグラフは、1967年、1976年、1986年、1996年における東京大学病院皮膚科の外来患者の年齢の割合をグラフにしたものです。各4本のグラフがありますが、1番左が0〜9歳、左から2番目が10歳〜19歳、左から3番目が20歳〜29歳、一番右が30歳以上です。
1967年と1976年においてはほとんど変わりがなく、患者の約7割以上が0歳〜9歳の幼児、小児です。ステロイド外用剤が開発されていなかった時、アトピー性皮膚炎は重症患者でも成人までに、ほとんどの患者が2〜3歳までに自然、あるいはステロイドの入っていない弱い作用の外用治療で治っていました。ステロイド外用剤も3群のストロングまでしか発売されていませんでした。
そんな中、1975年にステロイドランク2群ベリーストロングの『トプシム軟膏』、1979年にはランク1群ストロンゲストの『デルモベート』が発売されました。
それがどのような結果を生み出したかは、グラフを見ていただければ明らかですし、ここまで幾度となく言ってきたことなので省きます。
アトピーは自然に治っていた疾患!
ここで私が言いたいことは、
『ほとんどのアトピー患者が3歳までに自然に、あるいはステロイドの入っていない弱い作用の外用治療で治っている』
という事実です。先に述べましたが、佐藤先生も脱ステロイドによりアトピーが治るなんていうことは一言も言っていません。
「脱ステロイドにより、ステロイド依存が治り、本来のアトピーが出てくる」
と仰っています。では、本来のアトピーとはどのようなものなのでしょうか。佐藤先生は自著(※1)の中でこのように仰っています。
『肘窩膝膕(ちゅうかしっこく)(肘の内側と膝の裏側)などの好発部位に典型的な皮疹である漿液性丘疹(しょうえきせいきゅうしん)(頂上に小さな水疱を伴う小さな盛り上がり)を伴った乾いた苔癬化局面(たいせんかきょくめん)(慢性的に掻破してできた扁平に盛り上がったもの)』
つまり、まずはステロイド外用後中止後、症状の悪化部位がアトピー性皮膚炎の好発部位か、あるいはそれ以外の部位かに分けて考える必要があります。アトピーの好発部位は人により異なりますが、発症初期に症状があった部分、及びステロイド外用剤を塗り始めた当初に塗っていた部分となります。例えば、額、首、上胸、肘の内側、膝裏、手首(乳児期であれば肘や膝も)が好発部位で、それ以外は非好発部位です。ちなみに、私の場合は膝裏と肘の内側でした。
では、ステロイドの外用を中止したことにより浮き彫りになった、本来のアトピー性皮膚炎の症状はどのように治せばいいのか。その答えは先に記した通り、
『自然に治る』
です。ですので、その自然治癒を促進させるためにすることは、今までと全く同じです。最終話にまとめておきますので、参考にしてください。
ステロイド外用中止後3ヶ月間の前期半分は離脱症状が主であり、その後半は時間とともにステロイド離脱症状が軽くなり、アトピー性皮膚炎の症状が目立ってきます。
外用中止後3ヶ月以降の症状の悪化、例えば、季節の変わり目や体調を崩した時などの症状の悪化は、アトピー性皮膚炎の好発部位に出現することが多いため、アトピーの悪化が主であると考えるべきで、時間が経てば経つほど、本来のアトピー性皮膚炎の悪化が目立つようになります。
ステロイドの影響は月日とともに減少していき、それに伴い皮疹の悪化の程度は軽くなり、さらに治りも早くなっていきます。
焦らず、自分のペースで着実に行っていきましょう。