真実を見極める方法

メディアに騙されないための情報との向き合い方

飛躍的に増加し続ける情報

 

テレビ、新聞、雑誌、インターネット等、世の中では様々な方法で情報が伝達されています。特にインターネットの普及以降、その情報量は爆発的に増加し、止まることを知りません。

 

また、テレビ、新聞、雑誌等これまでのマスメディアとは違い、インターネット(youtube、twitter、instaglam、blog等)では、事実確認や根拠を証明するデータなどがなく、思いつきで発信されているものが過去のマスメディアと比べると格段に多く、正に『玉石混合』の状態です。

 

私が近年、特にインターネットのニュースを見て恐ろしいと感じることは、見るに値しないゴミ情報が圧倒的に多いだけでなく、そのゴミ情報が多くの支持(いいね👍等)を得ているという状況が増えつつあるということです。日本人はこれまでの教育や政治体制から、マジョリティ(多数派)の意見に同調、流されやすいという傾向があるため、感情論で民意を誘導しようという記事にそういった傾向が多く見受けられます。

 

多くの政治家や企業などは日本人のそういった特性を理解した上で情報を発信しますし、詐欺師等はそこに明確な悪意を乗せ、あなたに近寄ってきます。そういった情報に流されない、騙されないようにするためには、情報を自分なりに精査する能力『情報リテラシー』の向上が欠かせません。情報リテラシー能力を向上させるには、まず情報との向き合い方が重要になってきます。

 

では、メディアはどのような手段を用いて、あなたを誘導しようとしてくるのでしょうか?

例を踏まえて説明していきます。

 

 

未成年の強盗件数が増えた理由

 

まずは下の図2をご覧ください。

 

 

これは、刑法上 における少年(二十歳未満の未成年)が強盗により 検挙された件数を西暦でグラフにしたものです。この データは、警察庁が作成、発行する『犯罪白書』のデ ―タをもとに作成しております。この統計データから わかることは、一目瞭然、20年以上も横ばいに推移 していた強盗件数が、1997年を境に気に急増し たとい事実です。 近年の未成年は、殺人などの凶悪犯罪での検挙件数 は減少傾向にあるものの、1990年後半以降、自己 の欲望を金銭やモノで満たそうと、強盗行為に及ぶ未 青年の数が急増しました。なぜこのようなことになっ てしまったのでしょうか。 

 

この時期の日本の歴史を振り返ってみましょう。グ ラフのスタート地点である1970年代中頃といえば、 世界の歴史上類を見ない奇跡とも言える未曾有の高 経済成長がオイルショックにより終焉を迎え、安定成長期に入った頃です。その後、自動車や電気製品といったハイテク産業を中心に世界にその実力を見せつけ世界から『ジャパン・アズ・ナンバーワン』とも称され、世界中の経営学者やコンサルタントの研究対象となった、黄金の1980年代に突入します。GDP(国内総生産)も世界2位まで昇りつめた、いわゆる日本の『黄金期』ですが、1991年のバブル崩壊により終焉を迎えます

 

その後も緩やかな経済成長は続いていたのですが、1997年4月、消費税率を3%から5%に引き上げ、2兆円の特別減税を廃止、医療費自己負担増など、約9兆円の負担増を実施。そんな矢先、アジア通貨危機が起こり、金融機関の破綻が相次ぐなどの状況重なり、景気が極端に悪化するという事態を招きました翌1998年度には、名目GDPが前年度比マイナス2%(約10兆円縮小)、失業率は4・1%に達しました。その翌年1999年度には、1997年と比べた所得税と法人税の合計額が6兆5000億円にものぼるマイナスとなり、失業者はなんと300万人を超えました。そして、現在まで続く『失われた30年』へと突入するのであります 

 

 なぜ、1997年をきっかけに、未成年による強盗件数が急増したのかは、これまでの歴史振り返ってみると明らかです。バブル景気の頃は私も小学生だったので、どれくらい日本が活気に溢れていたかを覚えています。テレビを見ていても、明らかに今とはお金のかかり方が違うし、一般的な社会人が移動でタクシーを使うのは当たり前、ボーナスも多いし、会社も経費を使い放題。就活も楽勝、ディスコでフィーバー。そんな時代です。子供のおねだりにも楽に応じることができました

 

当然そんな時代は長くは続きませんでした。ブルは崩壊し、好景気に浮かれていた多くの企業が倒産、失業者は300万人にものぼったのです。今まで散々おねだりを聞いてもらっていた子供達の親の多くが、急に無職となりました。家のローンはまだ20年以上も残っています。子供の小遣いがなくなるのなんて当たり前、進学を諦めざるを得なくなった人も数えきれないでしょう。正に天国から地獄です。日本全体がそんな状況に陥ってしまったため、未成年の強盗が急増したことは当然の因果と言うことができるでしょう。 

 

「なるほど〜。そういうことか。 

 

と思ったあなた。要注意です

 

 

データを鵜呑みにするな!

 

なぜ要注意なのかというと、これは私が読者の皆様に、 

「未成年の強盗件数が増加した原因は、バブル崩壊によって日本経済が不況に陥り、失業者が溢れたことにある」 

と思わせるために、故意に作成したグラフだからです。しかし、勘違いしないでください。私は、データの改ざんは一切行っていません。つまり、強盗件数のデータは、警察庁が発表しているものを嘘偽りなく用いており、1997年を境に強盗による検挙数が急増しているというのは、まぎれもない事実なのです。では、なぜそんなことが起こってしまったのか。結論から言わせていただきますと、 

 

「1997年、法規制の変更により、今まで【窃盗及び傷害】として検挙されていたケースが、【強盗致傷】として検挙されるようになった」 

 

からです。詳しく説明しましょう。かつては、未成年が窃盗を行なった後に被害者に暴行を加えると、【窃盗及び傷害】の容疑で逮捕されていました。しかし、1997年6月に全国警察少年担当課会議で当時の警察庁長官関口氏が、  

「悪質な非行には厳正に対処、補導を含む強い姿勢で挑む」 

と発言し、それを受けた警察庁は同年8月『少年非行総合対策推進要綱』を制定し、少年犯罪の取り調べを強化することを決定しました。その結果、今まで【窃盗及び傷害】として検挙されていた少年たちが、【強盗致傷】として検挙されるようになったのです。

元家裁調査官の寺尾史子氏は、  

「CDを万引きした少女が、逃げる時に店員を突き飛ばしたというだけで、強盗致傷として検挙するようになった」 

おっしゃっていました。これらのことから、1997年の『少年非行総合対策推進要綱』の制定により強盗致傷による検挙件数が急増したというのは明らかです。ちなみに、図2と全く同じデータ、グラフを使い、毎年のように耳にする次のような理論を導くことも可能です。是非、もう一度図2を確認していただいた後、次に進んでいただきたい。 

 

最近の若者はキレやすい!?

 

近の若者はキレやすく、昔と比べ凶悪犯罪を犯す未成年の数が増えた』 

大きな理由としてあげられるのは以下の三つ。

一つは、共働き及び母子、父子家庭の増加により鍵っ子が増え、非行へはしる未成年が増加したため。

二つ目は、TVゲームやインターネットの爆発的な普及により、現実(リアル)と仮想現実(ヴァーチャル・リアリティ)の区別が曖昧になる、あるいは現実世界に対応できなくなる未成年が増加した。恐ろしいことに、これらの技術は進化をし続けており、VR技術の進化に伴い、このような未成年はさらに増加すると予想される。

三つめは、携帯電話の普及だ。これにより、不特定多数の個人(善人、悪人問わず)とクローズ(他者にわからないように)な連絡交換が可能になったばかりか、有害なインターネットサイトへのアクセスも容易になり、犯罪に巻き込まれるケースも急増した。これらの要素が重なり、未成年の凶悪犯罪検挙件数が激増した。 

 

皆様も一度はこの類のことをした顔で喋るコメンテーターを目にしたことがあるのではないでしょうか。未成年を悪者にしたいという悪意からか、はたまた単に無知なだけなのか、いずれにしてもタチが悪いのですが、この手のやり口は日常に溢れています。 

 

データ(数字)は嘘をつきません。しかし、悪意を持ってデータを利用すれば、民意を間違った方向へ導く、あるいは騙すことができるのですちなみに、この『少年刑法犯の強盗検挙件数』のデータですが、私が入手した全ての年数をデータにすると、図3のようになります。 

 

 

このグラフを見て、皆様がまず感じたのは、 

 「昔の若者の方が圧倒的にキレやすいやん!」 

 でしょう。私が図2のグラフで、1975年から2003年をピックアップしてグラフを作成したのも、まさにそこに理由があります。私は読者の皆様に、『1990年代後半の未成年による強盗検挙件数の増加は、バブル経済の崩壊が深く関係している』または、『最近の若者がキレやすいのは、生活様式の変化や、TVゲームやインターネ ット等の技術革新が大きく影響している』と思わせたかった。だから、そう思わせるために必要な部分、都合のいい部分だけを抜き出して、図2作成したのです。はじめにこの図3を提示してしまっては、そのように思わせる(悪くいえば、皆様を騙す)ことが出来ないのは目に見えています。  

 

このように、都合のいい部分だけをピックアップしてグラフ化し、視覚的な先入観を対象者に植え付け、自分にとって都合のいい、あるいは皆様を騙すための理論を展開するといった手法は、TVや新聞などのメディアだけにとどまらず、様々な場面で見受けられる最も一般的な手法の一つと言えるでしょう。

 

 

 

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