第2章

脱ステのススメ 11 第2章 〜マスメディアの構造的欠陥/スポンサー〜

マスメディアの闇/スポンサー

マスメディアの構造的欠陥はこれだけではありません。

二つめは、皆さんもご周知の『スポンサー』の存在です。テレビ局の事業収入は、そのほとんどがCMに代表される放送(広告)収入です。新聞社の場合においても、収益全体の約4割〜5割が広告収入と言われ、約半数を占めています。スポンサーからの資金がなければ、テレビ局、新聞社とも継続できなくなりますので、スポンサーに撤退されないようスポンサーの事業内容を批判することはもちろんのこと、意向に反する報道もできなくなっています。その当然の結果として、数多くの番組が高額なスポンサー料を払う大企業や資本家、および権力者にとって都合の良いものばかりに偏ってしまう状況を作り出しています。 

 

 

特に、大手広告代理店は、ありとあらゆるメディア関連企業に関与し、企業主催の講演、広報対策、オリンピック、ワールドカップといった大型イベント、さらには選挙の際の政党広告、政治家のPR戦略なども手がけており、大手マスメディア各社以上に巨大な権力となっています。それゆえ、大手広告代理店の意向に背くような内容を報じることなど到底出来ず、真相を追求するどころか、報道の自主規制さえしているという現状です。しかし、2016年の電通女子社員の過労自殺を巡る集中報道をきっかけに、このタブーは破られつつありますが、その体質は根深いものとなっています。また、大手マスメディア幹部社員の子息の多くが大手広告代理店に入社していることからも、その馴れ合い関係も見て取ることができます。 

 

宝くじに潜む闇

 

スポンサーの影響力と政府を含む闇の深さを語る上で、宝くじほどの好例はありません。宝くじ協会は、各種週刊誌に定期的に広告をのせており、業界では宝くじに対する否定的報道はタブーとされていました。そんな中1999年、週刊現代がそのタブーを破り、宝くじを攻撃する記事を載せました。とても勇気のある行動で、ジャーナリズム魂を感じたのですが、やはり広告は打ち切られてしまいました 

 『宝くじ(ここで言う宝くじとは、正式名称全国自治宝くじ、年5回発売されるジャンボ宝くじを指す)』といえば、公的なギャンブルとして、日本で最もポピュラーなものではないかと思うのですが、皆様はその構造についてご存知でしょうか。それより、そもそも宝くじはなんのために販売されているのでしょうか。 

 

「国民に夢と希望とチャンスを与えるため」 

 

私もそう思いたいのはやまやまですが、答えはノーです。なぜなら、宝くじは他のギャンブと比べ、圧倒的に還元率が低いからです。中央競馬、競輪、競艇、オートレースの還元率は約75%、パチンコやパチスロは80%以上、しかし、宝くじの還元率は約46%と圧倒的に低いのです。では、一体宝くじの収益構造は一体どのようになっているのでしょうかのグラフは、2014年度の資金配分をグラフにしたものです。これを元に、詳細を見て見ましょう。 

 

宝くじの売り上げはどこへ行く?

 

2014年度の販売実績は9007億円ですので、約4215億円が当せん金として購入者に還元された金額です。続いて、自治体の収益金が3585億円。このグラフを見てお分りになるとおり、宝くじを販売する理由とは、各自治体の歳入確保、お金集めの手段であるということです。宝くじを購入するで、その地域に寄付をしていると言えばわかりやすいでしょうか。 

宝くじの起源を探ると、江戸時代初期の『富くじ』にまでさかのぼりますが、現代の宝くじの体系が形作られたのは、1945年10月、戦後の資金吸収によるインフレ防止と復興資金調達のために政府が発行した宝くじが始まりとされています。主な業務は日本勧業銀行が請け負っていました。

 

 

では、現在はどうなっているのかと言うと、実際に発売に許可を出しているのは総務省です。年間の販売計画を立て、総務省に許可申請を出しているのが、47都道府県と20政令指定都市がつくる連合体『全国自治宝じ事務協議会』。こちらの会長となるのは、全国の自治体のトップである東京都知事。事務 局長は、同じく東京都の主任部長が務めるとが慣例となっています。そして、主な販売業務の全てを取り仕切るのが、旧日本勧業銀行であるみずほ銀行なのです。どうでしょうか。ここまで本書を読み進めている読者の皆様であれば、何か隠された闇、および癒着の匂いを嗅ぎとられたのではないでしょうか 

 

 

 

残念ながら、まさにその通りです。 

宝くじをめぐる報道では、2010年の事業仕分けにおける報道を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。いわゆる政治のムダを正そうという試みです。ここで大きな問題となったのが、『社会貢献広報事業』という名目で、みずほ銀行の再委託先として登場する『日本宝くじ協会』と『自治総合センター』という2つの公益法人(営利目的ではなく、社会公共の利益を図ることを目的とする法人)です。何が問題になったかというと、総務省をはじめ、霞が関のOBが天下りしているこれらの公益法人に対して、宝くじの売上金の一部が流れているという実態が浮き彫りになったからです。 

 図4にある通り、2014年度の社会貢献広報事業は109億円、事業仕分け当時の2010年では約250億円にものぼる金額です。額は事業仕分けのおかげで半分以下(それでも100億以上!)になりましたが、日本宝くじ協会の助成先には、消防、救急をはじめ、総務省管轄の公益法人が上位に並んでいることからも、抜本的な改革はいまだ進んでいないのが現状です 

 そして、もう一つ忘れてはならないのが『販売手数料』です。配分の割合では三番目に多い7・6%で685億円。街中にある販売ボックスを代表する宝くじ専用売り場をはじめ、ジャンボくじを取り扱う販売所に対して、各販売所のジャンボくじ総売上の6・3%(このパーセンテージは法律で決められている)を販売手数料として配分しています。全国の宝くじ専業売り場数は、全国で約3600店舗あるのですが、そのうちの7割以上を占める約2600店舗を運営し売上の約半分を占めることで、販売手数料約350億円を獲得する宝くじ販売の最大手企業が存在します。 

 

 その名は『日本ハーデス』。会社案内の冊子やホームページも存在しないどころか、官報の決算公告もなく、東京商工リサーチなどの信用調査会社のデータにさえ登場しない、宝くじ業界裏の盟主とされています。ハーデスグループは、日本勧業銀行(のちの第一勧業銀行)時代から宝くじ業務を担っている、みずほ銀行の親密先でもあります。グループ企業の多くが、登記上の住所をみずほ銀行六本木支店と同一にしているのもそういった事情からです。この日本ハーデスが、旧第一勧銀出身者の一大天下り先となっているのです。それを象徴しているのが役員人事です。驚くべきことに、当時日本中を揺るがした1997年の総会屋事件で有罪判決を受けた人たちと、経営陣の総退陣を訴えたうちの数人が、2012年まで同じグループ内に役員として在籍していたのです。しかも、日本ハーデスはみずほ銀行の最委託先ではなく、あくまで傘下の販売業者を統括する持株会社という立ち位置なので、みずほ銀行が財務内容を把握できないだけでなく、発売元の自治体の検査さえもすり抜ける体制をとっています 

 このように、度を所管する総務省、発売元の自治体、委託を受けた銀行、再委託を受けた販売業者、それぞれが互いを忖度し、利益を守りながら、トラブルがあっても責任の所在が見えにくい体制を見事に敷いているのです 

 

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